おおぎりいがいもね

M-1グランプリ2006が終わりました。今、ビデオで見返してます。雑な感想ですが順番に書こうかなと。何の経歴も無いド素人の自己満足です、ヒマなら読んでね。
<決勝>
POISON GIRL BAND「ファッション」570点
トップバッターの難しさをモロに受けてましたね。基準になるにはあまりにも難しいネタというか。独特の雰囲気(使い古された表現)は好きなんですが、やはり2年前の「中日オレ」と比べるとなぁ、と思ってしまいます。マグロをはくくだりは面白かったから、あそこからもう2分ぐらい展開して欲しかったなぁと思います。靴が履けるかどうかを削ってもっとブッ飛んで欲しかった。まだ地面が見えちゃってるもん。「中日オレ」は地面がほとんど見えなかったから。「中日オレ」と比べてしまうだけなのは悲しい。
フットボールアワーフットボールアワー戦隊」640点
僕は常々「今の若手の中で、トータルで一番レベルが高いのはフットだ」と勝手に豪語しているんですが、それ程までにオールマイティーだと思うのです。それをまざまざと見せ付けられた戦い方でした。「どや漫才」でしたよ。ただ、その余裕が人によっては物足りないというか、もっとガッツけよ、何て思われてるのかもしれません。まぁ、事実僕も新ネタが見たかったなぁ、とは思います。でも「西日」は大好き。
ザ・プラン9「天使と悪魔」597点
5人で4分って、ひとり1分も無いじゃん!大変だよ。4分で凝縮させるのは。やっぱりプラン9はすべらない方法をよく知ってる。僕はね、5人を生かした漫才はすでに出来てると思うんですよ。ただ“この5人”を生かした漫才が出来たらすげぇ事になるかなって思うんです。例えばその辺の素人がこの漫才を5人でやってもそこそこウケると思うんです。もし、頑張って練習したらプラン9と同じぐらいウケるかも。失礼な話だけど。「あぁ、これはこの5人じゃないと面白くないわ」という漫才ができた時が凄く楽しみです。
麒麟「ボクシング」627点
麒麟が面白いのは当たり前というか、面白くなるために一生懸命漫才やってて、評価もちゃんとされてる。実際ちゃんと面白い。ただ、この「ちゃんと」が厄介で。そーゆーのはM-1だと良しとされないんですよね。こうなるとM-1に出る存在意義すらわからなくなってきちゃう。最早、麒麟にとってM-1で優勝する一番手っ取り早い方法は「来年の決勝でドンズベリ→再来年爆笑」の様な気すらしてきちゃいます。んー。不謹慎だけどね。
トータルテンボス「グルメレポーター」613点
現状のトータルをしっかりと出し切りましたね。一生懸命漫才やってきたんだなぁと感じます。店長さんがもっと優しくなれば、来年は優勝に絡んで来るかと。トンコツのイントネーション!面白いけどなぁ。
チュートリアル「冷蔵庫」664点
別格でしたね。ネタ中に松本さんの「腹立つわ〜」的な笑い方が印象的でした。このネタはDVDにも収録されてるネタですが、濃縮に成功してましたね。「言えやー!」がちょっとだけズレたけど、こういう枠がすでに面白い漫才はその枠にお客さんをガッチリはめた段階でハズさないですね。「やんちゃやなー」「山が動いたな」等は初見でした。
変ホ長調「セレブ婚がしたい」576点
マチュアというプロが出ました。こりゃ決勝残るわ。逆にこれが決勝に残らないのなら、一生アマチュアからの決勝進出は無かったでしょうね。脚本の毒としてのレベルが物凄い高い。素人は技術が無いというのをしっかりと理解した上でのネタ作りとネタ運び、ここに掛け合いの妙が生まれると一体どんな化学反応が起こるんだろうか。「お天気踏み台」だの「レギュラー減ってる」だの。そりゃ笑うよ。面白ぇよ。
笑い飯「子供のしつけ」626点
あまり評価されてない前半部分ですが、本人達としてはむしろ前半の方を楽しんでやってる気がしました。後半は「こーゆーの見せとけばいいんでしょ」というか、んー、語弊があるかなぁ。センスがある分、飽き性なんでしょうね。自分達で作ったダブルボケスタイルにすでに飽きてきている。前半部の様なじっくり聞かせる、喋りで見せる漫才を開発していくんじゃないでしょうか。このコンビはいつまでたっても掴みきれない魅力がありますね。
ライセンス「大人向けのドラえもん」609点
勉強になるなぁ。コントの勉強になる。マジメに芸を磨いた結果ですね。良く出来たネタでした。例えばオンエアバトルに持っていけば余裕で500越えできるでしょ。この手のネタはぶつ切りになりがちで、どうしても後半の盛り上がりに欠けるんですが、キレイな構成でその辺の弱点を消してましたね。面白かったです。

<最終決戦>
麒麟「田村裕探検隊」
i-podの音漏れのボケはホント大好き。上質のボケです。全体として文句無く面白い。何というか、この立ち位置を変更したネタが見たいというか、田村さんが主導権を握った場合はどんな漫才になるんだろう、とか考えてしまいますね。キャイ〜ンの漫才の様な作り方をしたらどうなるんだろう。
フットボールアワー「居酒屋の店員」
フットボールアワーは勝つためにこのしつこさを前面に押し出したんでしょうね。2003年のスマートなスタイルをあえて崩して勝負に出た。びっくりメンチカツなんかは、シェフの気まぐれサラダと構図は一緒なんだけど、やり方を変えてきてる。来年、本気で取りに行けばV2は余裕でありえると思います。「あぁ、今のフットボールアワーはこんな感じなんだな」と浸透させる事が何より大切だろうから。
チュートリアル「ちりんちりんを盗まれた」
名作。2003年の笑い飯フットボールアワー、2004年のアンタッチャブル、2005年のブラックマヨネーズに並ぶ名作が登場しました。完全優勝にふさわしいです。個人的にもひいきにしてたコンビなので本当にうれしいです。徳井さんの変態っぷりが取り上げられていますが、福田さんのオドオドがあってのこの漫才ですよ。このスタイルは凄いね。テーマが普通であればあるほど、どんどん異常になっていく。そういう意味ではポイズンも同じタイプなのかもね。


<総合感想>
6年という“時間の流れ”が印象に残りましたね。
もうM-1も6年目です。6年生です。で、6人目の学級委員がチュートリアル
アンタッチャブルが委員長になった時と似てて、前年、優勝者の影に隠れて「あいつ、あんなん持ってるんだ」ってのがちょっとづつウワサになって、次の年に満場一致で当選、みたいな。
麒麟とか笑い飯はずっとこの小学校にいて、そこそこ人気もあるし、副委員長は何度もやってるんだよね。でも、いっつも4年とか5年にやってくる転校生に票を奪われちゃって。転校生は、目新しいからそこそこチヤホヤされるからね。
ほんで、3年の時の委員長も親の都合で転校したんだけど、戻ってきて、そしたら「アレ?アイツあんなヤツだっけ?」って戸惑っちゃって。やっぱり、委員長の時の記憶があまりにも鮮明だからさ。

実にまとまってない例えですが、そんな事を考えてしまうM-1でしたね。チュートリアルの優勝には満足してるんだけど、その他の面ではやっぱり新しい波が欲しいというか、サンドウィッチマンは決勝行っても良かったんじゃと思います。