おもろいことのすばらしさ

M−1が終わりました。今、ビデオで見返してます。雑な感想ですが順番に書こうかなと。
<予選>
笑い飯・633点
トップバッター。ある程度世間にスタイルが浸透してるからほとんど不利に作用してない、逆にトップじゃない方がボーナスが無い分、もっと低い点数だったかも。内容に関しては面白いんだけど、どうしても2003年のネタと比較してしまうなぁ。正直優勝とかいいから10年目まで出続けて欲しいですね。「ちゃいなー」の意味の無さ。
アジアン・564点
本当に漫才が上手い。馬場園さんがヘルニアで明らかに体調が悪く、そのためか途中途中で鼻をすすって間があいてしまっていた。それなのにこんなに面白いのは流石ですね。万全の体調なら客を巻き込める技量持っているので、来年に期待です。「濁点8割」。
南海キャンディーズ・552点
やっぱり忙しすぎた1年だったのでしょう。こんなに異質な二人組なのにもう普通になっている。ブームの怖さを恐ろしく感じてしまいます。去年の医者ネタのように会話してるんだけど成立してないというか、その方が南海の味が出ると思うんですけど、今回は完全に傍観者の立場である場合が多かったですね。漫才において構成力の重要性、それを構築するには何度もネタを練り続けないといけないんだなぁ、と。結果的に最下位だけどよく考えて欲しいのは、3千何組の中の9位だって事。凄い事なんですよ。うん。
チュートリアル・622点
ん〜、順番に泣かされてるなぁ。ここまで何となく荒れてた土地を完璧なまでに耕した結果に。去年のオールザッツで見たネタだけど、この一年での演技の熟成度合いがケタ違い。南海と違い、舞台に立てる時間が多かったのかなぁ。徳井さんの変人っぷりがもぉ、たまらない。ホントに順番が違えばもっともっと点数が伸びていた気がします。「トーマス・マッコイ」て。全国で見る機会が是非増えてくれるといいなぁ。ほんと。看板で深夜の30分番組とかすごい見たい。
ブラックマヨネーズ・659点
チュートが温めきった空気を完全に掴みきりましたね。堂々の1位ですよ。日本で一番面白い口ゲンカだ。昔見た時は個性がありそうでないなぁという印象だったけど、このスタイルになってから印象変わったなぁ。ベテランになっても、漫才をやり続けて欲しいコンビです。
品川庄司・626点
オンエアバトルの頃は品川さんのお笑い優等生ぶりを全面に出す一流の教科書漫才だったけど、それをぶち壊しにきてる。コンスタントに安定した笑いが取れるネタじゃなく、M−1で勝ちにいこうとしてる。恐らくコレは単独ライブとかに作ったんじゃなく、M−1用のネタでしょうね。ボケの重ね方が何年か前のホーム・チームに似てて個人的には凄く好き。TVですでに人気者なのに本気で取りに行こうとした姿勢は素晴らしい。
タイムマシーン3号・571点
衣装がよそ行き!自己紹介としてイメージつけるには「デブしばり」ってのも作戦なのかも。個人的にはデブネタに挟まれて登場するダークなボケが大好きなので、そういうのも見たかったですね。唯一の非吉本という超アウェーにおいてはグッジョブすぎるでしょう。
麒麟・646点
なんだろ、全部が味方になった感じですね。田村さんがあんなにはまるとは。麒麟の性質上、ナレーション的なのでアドリブを入れづらい所があったのですが、合間合間にアドリブ(かどうかはわからないけど)が組み込まれていて、意外性も強かったですね。何年もしがみ付いていられる底力が見えた気がします。
千鳥・607点
去年の「中世ヨーロッパ」の雰囲気なんだけど構成が凄い事になってた。正直もっと大雑把に大悟さんの面白い事をぶつけるコンビだと思ってたのですが、台本の作りの細やかさにビックリ。ただ単にアホをやってるんじゃない、凄い賢いアホですよ。ふとまつがカッコイイとこはもっとウケてもいいと思うんだけどなぁ。かなり凄いボケだと感じてるのは僕だけなんだろうか。

<ファイナル>
1番・麒麟
大舞台で一回しか出来ないとんでもないツカミで爆笑。途中のケンカ腰は普段もやってるのかなぁ。最後の「いきおいー」はギャンブルに出たなーという感じ。
2番・笑い飯
ん〜、ネットとかで評判よかったから楽しみにしてたけど、ん〜。僕が好きじゃないって事なのかなぁ。マリリン・モンローのくだりでウケる気持ちはわかるけど、僕は好きではないや。僕が好きで良く見てるお笑いブログにも書いてあったのですが、「真剣にアホをやってる」笑い飯が好きなので、「こんなんアホでしょ?」みたいないやらしさが前に出すぎてた気がしたんだよなぁ。
3番・ブラックマヨネーズ
見せ付けましたね。完全に勝ちの漫才。審査員がずっと笑ってたもの。事前番組でもほとんどカメラが追いかけていなかったので、してやったりなんじゃないでしょうか。面白い。すごい面白い。ただ、ただひとつ問題があるのは、DVDのパッケージが随分華の無い仕上がりになっちゃう!って事だけです笑

優勝した後の握手はコンビ愛ですね。後ろで笑い飯の哲夫さんが泣いてるっぽかったのにちょっとホロリ。相当悔しかったんだなぁ…。

<総合感想>
全体として今回は優勝候補不在と言われ、純粋に「漫才」としての精度、今日の出来を問われる大会になっていました。そうなると順番というのは非常に重たいモノになってくるんだなと。あくまで僕の個人的意見ですがチュートリアルは順番が別だったとしたら少し違う結果になってたでしょう。そりゃ、他のコンビも順番違えば違う点数になるんだろうけど、チュートリアル品川庄司が逆の順番だっただけでも10点以上違っていたと思いますね。残念とかよりも、来年以降楽しみで仕方ない。だから優勝には何の文句も無いです。心からおめでとうございます。一番面白かったです。
あと、時間についてのルールが厳しくなった事。芸人さんのやる漫才ネタって、15〜30分ぐらいでじっくりしゃべるネタと5〜8分でコンパクトに濃縮させたネタがあると思ってるんですね。で、凄く大雑把にして長いのは舞台用で短いのはネタ番組用。ネタ番組では編集が行われるので結果として3〜4分になってるワケで。それが生放送でしかも減点という厳しいルールを突きつけられた時、当たり前だけど必ず台本を削る作業が行われるはずなんですね。
それを特に感じたのがチュートリアルタイムマシーン3号。チュートは以前見たワケじゃないからただの印象だけど、タイムマシーンは明らかに4分用の作りになってる。アンタッチャブルに代表される典型的な漫才コントなだけに、展開が駆け足になっちゃってた感じなんだよなぁ。
逆にその編集点が全くわからなかったのがブラマヨ。一度も途切れる事のない流れでお客さんに隙を与えなかったですね。台本を演じるというより、トークの進化系であるこのスタイルが編集という部分ではやりやすいのかも。
この理屈は完全に僕の個人的な考えで誰が言ってたとかそういうのではないので、間違ってたらごめんなさい。あと、このルールがいらないとかそういう事言ってるんじゃないですよ。むしろ真剣勝負度合いが増して良い緊張感。そいえば、増田さんが言ってたのはコレかなぁ?
何か偉そうに色々書いちゃったけど、全組面白かったですよ。だって、絶対に今の僕より面白いんだもん。イキナリ何言ってんの?という声が聞こえるけど、僕は自分の事を棚に上げて“芸人やめろ”とか無責任に書いてある文章に本気で怒りを覚えるので、こういう事は言っておくのです。
で、思ったのは漫才って凄いなぁと。
僕はコントは何度か舞台で演じた事はあるんですが、言い方悪いけどコントって結構逃げ道が多いと思うんすよ。本人じゃなく登場人物が面白ければいいし、衣装でも小道具でもいくらでも嘘が付けるし。例えばオチがお客さんを怖がらせるものでも許されるんですよ(でも、決してコントが簡単だなんて言ってるワケじゃないですよ)。
でも漫才の場合、マイクの前で本人が喋る(それが演技でもお客さんはそう感じる)、どこにも逃げられない世界なわけで。だって、漫才のオチがホラーだったら納得しないでしょ?きっと。ただひたすら笑かすためにしか作られていないんですよね。それが出来る事ってとてもしんどい事であると同時に非常に羨ましい事ですよね。僕もいつか漫才がしたいなぁ。僕にできるのかなぁ?
もう今から来年のM−1が楽しみですね。ま、今日はこんなトコで。